私が製作した入れ歯では無いのですが、ある方から相談を受けました。
その方のお母様が他院で製作した入れ歯が合わなくて物が食べられないそうで、
どうしたら良いものか?という内容でした。
よくよくお話を伺うと
*入れ歯は吸い付くようにしっかりしていて外れない
*装着直後は滑舌が悪いが暫くすればはっきり喋れる
*どこかが当たって痛いというわけでは無い
*噛めないわけでは無い
*見た感じ、旧い入れ歯よりだいぶ大きい
ということでした。
ここまでお聞きして私はピン!ときたので逆に聞きました。
『元々の入れ歯はかなりゆるくてお口の中で自由に遊んでいませんでしたか?』
『旧い入れ歯はかなり長いこと使っていませんでしたか?』
私が聞いたのはこの2点だけ。
どちらも思った通りでした。
どうやら新しい入れ歯自体は相当に良く出来ているようです。
ただ使いこなせていないのです。
確かに旧い入れ歯はゆるいのですが、お母様のお口には合っていたのです。
そのゆるさを自分の体、ほっぺたや舌を器用に使って自分の使いやすい位置に合わせていたのです。
なので動きのないしっかりした入れ歯に違和感があり、また今までと同じようなお口の動きをすると
逆にほっぺたや舌が疲れてしまうんですね。
無意識に長い期間行っていた習慣はなかなか改善できないものです。
今回のケースもそうでした。
ただお母様がご高齢ということもあり、わざわざ煩わしさに慣れる努力をするよりも
楽な方を選んでしまうというのは仕方ないことかもしれません。
治療としてはどんなに正しくても患者さんに満足していただかなければ意味はありません。
また患者さんに満足していただけるならば妥協的な治療も意味を持つのかもしれません。
とても考えさせられました。
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