『奥歯の被せ物を保険でセラミック冠にできると聞いたので、先生のところでもお願いできますか?」
私 「...」
よくよくその方から聞いてみると、会社の上司が通われている歯科医院で奥歯の治療の時にそのような説明があったそうで、会社内で歯医者の話を情報交換していて聞いたのだそうです。
似たような問い合わせを何度か受けましたが、ここではっきりさせなければいけないのは、当院に限らず日本全国で保険治療のセラミック使用は存在していません!ということです。
これは歯科界や行政、メーカーも悪いのですが、保険適応のセラミックとういうのは説明が足りていません。
正式名称はハイブリッドセラミクスと言います。
名称にセラミクスと入っているのが話をややこしくさせているのですが、実態はプラスチックです。
ではなぜこのような名称になっているのでしょう??
従来型の歯科用プラスチックは強い力がかかると割れてしまうという欠点がありました。
そのため奥歯のように強く噛む場所には適応から外されていたのです。
本当のセラミックにはガラスの元になるような硬い成分が入っていて、これが透明感や硬さを調整しています。
この成分を特殊な技術でプラスチックに盛り込んだ、つまりハイブリッド化させたものがハイブリッドセラミクスと呼ばれるようになったのです。セラミクスとつけてしまったのはその方がイメージが良かったからにすぎません。
名称のことは一先ずおいておいて、ではこのハイブリッドセラミクスが実際どうなのか?ですが
割れます。
外れます。
すり減るので噛み合わせが変化してしまいます。
利点(患者さんにとって)といえば、安価に奥歯を白く治せるので、短期間の予後には悪くないのかもしれません。そもそも国がこの新素材を認可したのも材料が安価だからです。
従来から使われている金属はコストがとてもかかるのです。
治療材料に求められるのは耐久性や強度であり、長期間変質しない安定性なども兼ね備えてなくてはいけません。
そういう意味ではこのハイブリッドセラミクスは、ちょっと頭を傾げてしまうところがあります。
もちろんこうした説明をきちんと行いましたので、その患者さんがハイブリッドを選ぶことはありませんでした。
皮肉なものでこの話の前日、奥歯が割れてしまったので被せ直したい、という患者さんが来院されました。
お口の中を拝見しご本人に確認したところ、保険でハイブリッドセラミクスで被せたとのことでした...
RSS Feed